いびきスプリントは耳鼻科での無呼吸症の診断書を受けたもの以外は保険で製作できないのでご注意ください。診断書なしで単なるいびきを軽減する目的での装置は25,000円(消費税別)かかります。総入れ歯の方や未処置な歯がある方、奥歯が第一大臼歯までない方は作れないケースがあります。
いびきをかく人は、実は眠りが浅くて疲れがとれにくく、集中力や記憶力の低下、イライラなどの原因になります。さらに、呼吸障害、酸素不足、循環器系や呼吸器系に悪影響を及ぼして、高血圧や心臓病、脳梗塞などにかかりやすくなる弊害をもたらします。
いびきの原因は、鼻腔から咽頭までの空気の通り道「上気道」と呼ばれる部分のどこかが何らかの理由で狭められたことにあります。上気道が狭められると、呼吸した時の空気抵抗が大きくなり、粘膜や分泌物が振動してしまうのです。この振動音がいびきの正体、笛の原理と同じです。
「一晩七時間中に10秒以上の無呼吸が30回以上認められるか、あるいは一時間当たりの睡眠中に10秒以上の無呼吸が5回あるもの」
日本で習慣的いびきをかく人は2000万人以上もいるといわれています。その中で睡眠時無呼吸症候群の人は、その内の約10%、200万人と考えられています。
①中枢型睡眠時無呼吸症候群
延髄にある呼吸中枢から呼吸筋に対しての刺激が停止してしまい、呼吸運動そのものが全くない状態。つまり、 口や鼻からの息だけではなく、胸郭や横隔膜にも呼吸している形跡がないものです。呼吸中枢に何らかの障害が起きていることが原因と考えられます。
②閉鎖型睡眠時無呼吸症候群
気流停止と言って口や鼻からの息はしていないものの、胸郭や横隔膜は呼吸をしようと活動しているもの。気道が閉塞してしまうことが原因で、肥満や舌の肥大、咽頭部の障害などによって起こります。
③混合型睡眠時無呼吸症候群
中枢型の無呼吸から始まって閉塞型の呼吸再開にいたるパターンを繰り返すものです。
右図のようなものを口の中に入れて、気道を確保する装置です。
口の中に入れているマウスピースに似ています。原理は下顎を前に引き出して、舌根が奥に沈み込むのを防ぐ役割をするものです。
大げさな装置ではなく、また外科的手術も必要なく、薬物療法のような副作用の心配もない保存治療です。
まず、スリープスプリントを試し、経過を見てあまり効果が期待できないようであれば、マスク療法へ、それでもダメな場合は外科的治療に進むというのが良いではないでしょうか。 いびき無呼吸治療装置の図
睡眠時無呼吸症という診断があり、スリープスプリントが有効であると、医科医療機関からの診療情報提供がある場合のみ、保険で取り扱うことができます。
単なるイビキとかでは、保険適用されないのでご注意を!
Kさん(40代男性)
昼間眠くなることが少なくなった。いびきは完全には止まらないが小さくはなったらしい。時々無意識に強く噛みしめていることがあるので、慣れが必要かもしれない。洗浄はポリデントと専用容器で行っている。ポリデントの色が洗面所に残らないように水で薄めてから捨てている。洗う手間が面倒であるが、手放せないものになっている。
耳鼻科にて施行していただきます。
[睡眠の際、顔にゴムマスクを装着し、コンプレッサーによって空気を気道に送り続けることで気道の閉鎖を防ぐ] いびき無呼吸治療器の図
大掛かりな装置がいる上、夜間にのどがカラカラに乾いてしまい、長時間の使用が難しい。
耳鼻科、口腔外科に紹介して施行していただきます。
咽頭拡大手術と呼ばれているのがUPPP いびき無呼吸治療法の図
気道をふさぐ原因になっている部位を切除して、咽頭腔を広げるもの。最近では、レーザーで切除するLAPPというものもあります。
耳鼻科などでおこなっていただきます。
呼吸刺激剤や坑うつ剤、気道拡張作用のある薬などがあります。
中枢型、軽度の閉鎖型睡眠時無呼吸症候群の患者さんには効果がありますが、主流を成す閉鎖型睡眠無呼吸症候群には有効とはいえません。